最低賃金制度
令和元年10月より、全国の最低賃金が引き上げとなります。
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき、国が賃金の最低限度を定め、会社は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
仮に最低賃金より低い賃金を、労働者との合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。
したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を遡及して支払わなくてはなりません。
また、地域別最低賃金以上の賃金額を支払わない場合には、50万円以下の罰金(最低賃金法の罰則)が定められ、
特定(産業別)最低賃金以上の賃金を支払わない場合には、30万円以下の罰金(労働基準法の罰則)が定められています。
最低賃金には、地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類があります。
①地域別最低賃金
地域別最低賃金は、産業や職種に関わりなく、都道府県内の事業場で働く全ての労働者に対して適用される最低賃金として、
各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。常用・臨時・派遣・パート・アルバイト等の就労形態は問いません。
労働者であれば年金受給者等であっても適用されます。※派遣労働者については、派遣先の地域(特定)最低賃金が適用されます。
②特定最低賃金
特定最低賃金は、特定の産業について設定されている最低賃金です。特定地域内の特定の産業の基幹的労働者に適用されます
(18歳未満又は65歳以上の方、雇入れ後一定期間未満で技能習得中の方、その他該当産業に特有の軽易な業務に従事する方等には適用されません)。
なお、一般の労働者より著しく労働能力が低い等の場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭める恐れなどがあるため、
次の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として、個別に最低賃金の減額の特例が認められています。
(1) 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
(2) 試の使用期間中の方
(3) 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省で定める方
(4) 軽易な業務に従事する方
(5) 断続的労働に従事する方
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金の、通常の労働時間、労働日に対応する賃金に限られます。
具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。
(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当等)
(2) 1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金等)
(4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金等)
(5) 深夜労働に対する割増賃金
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
以上の(1)~(6)を除いた賃金額が、最低賃金額以上でなければなりません。
また、基本給以外に職務手当や能力手当等が支払われている場合は、最低賃金の対象となります。
支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と、適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。
(1)時間給制の場合
時間給≧最低賃金額(時間給)
(2)日給制の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間給)
だだし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、
日給≧最低賃金額(日額)
(3)月給制の場合
月給÷1カ月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
(4)出来高払制その他請負制によって定められた賃金の場合
出来高払制その他請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他請負制によって労働した総労働時間数で除した金額≧最低賃金額(時間額)
(5)上記(1)~(4)の組み合わせの場合
例えば、基本給が日給制、各手当(職務手当等)が月給制の場合は、上記(2)、(3)の式により時間額に換算し、合計したもの≧最低賃金額(時間額)
各都道府県ごとの最低賃金額は、下記の厚生労働省のページより確認することができます。
御社で支払われている賃金が、最低賃金額以上であるかどうか、今一度ご確認下さい。